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認定補聴器技能者 大島厚志の超個人的なブログ

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なぜ私が、補聴器の販売にこだわるのか?



●私を救ってくれた、おばあちゃんの一言


 補聴器を販売するためには、様々な技術的知識が必要になります。
補聴器の構造を理解するための音響学、聴覚の仕組みを理解するための臨床医学、カウンセリングに必要な心理学、挙げればキリがありません。 

 私は、そうした基本を認定補聴器技能者の資格を取るときに学びました。
そして、もっと大切なことも様々な人との出逢いの中で学んでいきました。

私は、埼玉県の秩父市に育ち、家業がメガネ、時計、宝飾店だった為、高校を卒業すると、メガネの専門学校に入学しました。

と、言えば格好も付くのでしょうが、実際は、大学試験に落ち、進むべき道が分からなくなって、結局、家業を継ぐという理由で専門学校に行くことになったのです。

 当時は、そうとう落ち込みました。周りの友達は、大学やら就職が決まっていく中、自分ひとり取り残されたような気持ちになり、この先どうしたら良いだろうと、悩んだのを覚えています。

そんな時に、ふっと思い出したのが、おばあちゃんの一言でした。
「厚志は良い子だから。厚志は良い子だから。」
小学生の頃、遊びに行く度に、
「厚志は良い子だから。厚志は良い子だから。」
と言ってくれていたのです。

普段は、忘れていた言葉でしたが、ふっと頭の中に浮かんだ時、心の中に灯りが灯ったように暖かくなったのを覚えています。
子供の頃、私の父は厳格で、とても怖い存在でした。昔ながらの雷親父と言ったところでしょうか、怒るとすぐに拳が飛んでくる典型的な昔の父親でした。

母親は、そういう父を立て、一緒に商売を守り立てていくといった人で、性格は、さっぱりしるけど、言いたいことはしっかりと言う人でした。

小学生頃の頃から、そんな両親の商売をしている姿をずっと見てきました。結局は、仲良く二人で商売をしている姿を見ていたので、進路を決める際も、後を継ぐという決断をしたのかもしれません。
専門学校卒業後は、5年間、同業のお店で修行し、1989年の1月に秩父に帰ってきました。私は、修行の成果を見せようと、張り切って仕事をしていまいた。




●まさか・・・の出来事


 しかし、そんなある日、衝撃的な事件が起こったのです。
たまたま宝石の展示会を開催していた日の夜、夜中3時頃に、強盗に入られたのです。

当時は、外人の窃盗団がはやっていて、まさか、自分のお店が狙われるなんて夢にも思いませんでした。展示会開催中ということもあり、商品もたくさん展示してあり、2千万円もの商品が盗まれてしまったのです。

そうとう落ち込みました。「この世には神も仏も無いのか、まじめに一生懸命に働いてきただけじゃあダメなのか、なぜ、自分たちばかりこんな目に合わなければならないのか。」
強盗に入られた後遺症もありました。家中が、PTSD心的外傷を負っていました。夜中3時頃になると目が覚めてしまうのです。恐怖がよみがえって、体中がぶるぶる震え、強張ってしまうのです。

その時は、「もうダメも知れない・・・」と思ったこともありました。

しかし、そんな気持ちの中でも月日は流れます。そうこうしているうちに、「捨てる神あれば、拾う神あり」と申しましょうか。運命を変える出逢いがあったのです。



●運命を変えた出会い


 経営の勉強会に出席した時のことです。偶然隣り合わせた人から、補聴器メーカーの営業マンを紹介されました。

前川さんという営業マンでした。はじめは半信半疑で前川さんの話を聞いていましたが、試しに補聴器の相談会を開催してみようということになり、その時開催した相談会が、本格的な補聴器との出逢いでした。
それまでは、補聴器も取り扱ってはいたのですが、いわゆる「出来合いの補聴器」を扱っていました。良くもなく、悪くもなくといった感じで、今思えば、「よくあのような補聴器を平気で販売していたなあ」と、冷や汗が出るようです。

その相談会には、たくさんの方が訪れて、補聴器も売れました。

「この分なら、補聴器を販売して売り上げも上がっていくぞ」と意気揚々となっていたのです。



●予期もしていない事件が、


 しかし、そんな矢先、事件は起こりました。
 数日後、相談会で販売した、落合さんというお客様が、ものすごい剣幕で文句を言ってきたのです。
  
「大島さん、この補聴器ガーガーして、言葉がわからないよー。」「何とかしてくれよ!」
その時はまだ、知識も経験もありませんでしたから、何とかしてくれと言われても、どうすることも出来ません。
しかし、目の前にものすごい剣幕で怒っているお客様がいる。なんとかしなければなりません。

営業の前川さんに連絡しても、すぐには来らないということです。そこで、補聴器メーカーのオーティコンに電話して、お客様の情報をファックスし、アドバイスを頂きながら、微調整するといった具合で、何とかその場を切り抜けました。

私は、ホッとしたのと同時に、自分の知識のなさが、お客様の怒りをかってしまったことを痛感しました。

しかし、その場しのぎでしたから、その後も販売していく中で、クレームもいくつかありました。

このままだと、売ったは良いが、またお客様にご迷惑を掛けてしまう。お店の信用にも関わる。もう補聴器を販売するのは止めようかとも思いました。



●一通の手紙が人生を変えた、


 しかし、その数日後、一通の手紙が届いたのです。

拝啓、先日は補聴器をお世話になりありがとうございました。

私は、子供のころ、父に耳掃除をしてもらっているときに、誤って鼓膜を破ってしまったのが原因で、難聴になってしまいました。

それから、人には言えない辛さをイヤと言うほど味わってまいりました。
そばにいた父は、難聴にしてしまったのは自分のせいだと思い込んでいましたから、私以上に辛い思いをしていたようです。その父も今年の8月暑い時期に亡くなりました。

生前病院に見舞いに行ったときのこと、
「補聴器を作って頂いて、よく聞こえるようになったよ。もう大丈夫だよ」
と話しましたところ、それはそれはと喜んでくれて、涙を流しておりました。
もっと早く安心させてあげれば良かった。つくづくそう思いました。

こんな良い補聴器があることを、聞こえないで苦しんでいる方が沢山おられると思います。
もっともっと広めてくださいますようお願いいたします。

敬具


私は、胸が詰まり、涙を流しながら、何回も読み直しました。

私が売った補聴器で、喜んでくれる人がいる!





●その時、気づいたのです。


今まで私は、補聴器っていう機械を販売していた。しかし、お客様が求めているものは、聞こえるだけの機械ではなくて、聞こえるようになった後の、ご家族との団欒だったり、これでまた人の役に立つことができるといった希望だったり、自分を大切に思ってくれている人への感謝の気持ちを感じることだったりするのだなあと。

お客様が満足しないのは、知識が足りないのではなく、「何を求めているか」を理解できていなかったからです。

お客様のこれまで生きてきた背景を想像しつつ、本当に聞こえるようになった後、どういう生活を送りたいのかも含め、接客していかなければならない。その想いを伝えていかなければならないと思いました。

子供の頃、おばあちゃんが口癖のように言ってくれたこと、
「厚志は良い子だ。厚志は良い子だ。」
今度は、私がそんな暖かで、包み込むような気持ちを、お客様と交わせていけたら良いなあ。そんな風に思っています。

 確かに、知識を付け、技術を磨き、活用をすることは大切です。でも、知識や技術だけではダメなんです。そこに心がこもってないと。本当にお客様に心から喜んでもらえません。

補聴器を選び、フィッティングするには、最新のテクノロジーや心理学など様々な知識、技術が必要となります。

しかし、もっと大切なことがあるのです。

補聴器をお使いになるのは人です。だからそこ、知識や技術だけではなく、血の通った対応が必要なのです。それが分かってきたからこそ、この仕事に一生をかけようと思いました。




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